「♪灯りをつけましょぼんぼりに〜…という訳で雛祭りだよキラ。雛祭り、知ってるよね勿論?」
「…はぁ、まぁ、そりゃ…」
「そう、じゃあ雛祭りのお約束雛人形も知っているね?」
「や、そりゃ…てか君、手に何持ってるの?」
「…我が家には女の子はいないけど、いつか俺達の子供が産まれるかもしれない、その時は立派な雛飾りを買ってあげようと思っているんだ。と、言う訳で」
「……訳でも何も僕じゃ産めないんだけど何かもうどーでもいいや」
「予行演習だ、キラ。というかコスプレ?」
「………だから、その手にした布は何さ、ねぇ?てか人の話は聞いてくれない?」
「昨日ラクスから送られてきた十二単だ。これを着てみよう、キラ」
「………ヤダ」
「……キラ、もう一度言う。俺と一緒に雛飾りになるってくれ!」
「イ・ヤ・ダ」
「…コレはラクスからの贈り物なんだ。…例え頼んでもいない無理矢理贈られたものでも俺達に一切拒否権はない…分かるだろう?」
「……うっ…」
「大人しく着てくれ。俺も着るんだから恥ずかしくないだろう?」
「……(アスランのはお内裏様のじゃんか…)」
「ほら、キラの好きな甘酒とか用意したから。終わったら一緒にちらし寿司でも食べようね?デザートもちゃんと用意してあるから、ね?」
「…あられ…」
「は……?あぁ、あられも勿論用意したよ(というか全てラクスが送ってきたよ)」
「…僕そんなの一人じゃ着れないんだけど…」
「(拗ねてるキラも可愛いなぁ…)大丈夫、俺が着せてあげるから。キラの為に覚えてきたんだ」
「…変な事しないでよ?」
「変な事って?…嗚呼、キラ。そんな目で見つめられると期待に添いたくなるよ…そうだ着替える前にちょっと花見をしようかな…」
「ッ!?こら、何してるのさ!変な事しないで…」
「…桃の花、買ってくるの忘れたんだ。だからキラの身体で花見をしようと…」
「バカか君はっ!僕の身体の何処に花が…」
「黙って。…花なら今から咲かせてあげるからvv」
「……〜ッ!!」
「キラに花を咲かせましょう♪」
「…あっ……」
閑話休題
「今日は皆様、ラクス・クラインです。本日は雛祭りという事でキラ様とアスランの扮する雛飾りを愛でに参りました…のですが…」
「ラクス様、誰も出ませんが…」
「ありがとうダコスタ。…多分もう二、三時間しないと誰も出ないのでしょう…仕方ありません。キラ様の為のケーキでも買いに行っていますか…ダコスタ、車を」
「かしこまりました、ラクス様」
「雛祭りは女の子の為の行事、今日ばかりはキラ様を独り占めにはさせませんことよ、アスラン…」
覚悟しておきなさいませ……
*
「ッ!?」
「…ど、したの…アスラン…」
「いや…今悪寒がね…それよりキラ立てる?」
「…たぶん…」
「…もったいないなぁ…折角綺麗な花が咲いたのに。でもコレ着ないとラクスに殺されるしね…」
「…ばか…」
「ばかだよ?俺はきっと死ぬまでキラバカだね」
「………ほんと、バカだね…でも…僕も同じ…」
「キラ?」
「僕も、アスラン馬鹿だよ…」
「…キラッ!!」
「二人揃って馬鹿ってのもいいんじゃない?ねぇ、アスラン…」
「あぁ、…最高だな」
閑話休題
「ラクス様、まだ出ませんが…」
「………そうですか……」
「あの、お待ちになるのでしたら車の中で…」
「いいえ。ここで待ちます」
「はぁ…ですが、その…」
「ここで良いのです。念波も送りやすいですし」
「……ね、念波ですか…?」
「念波です。ダコスタは車の中でお待ちなさい」
「……はひ…」
「ラクス・クラインの名にかけて、キラ様の艶姿を絶対にこの目で愛でてみせますわ!…フフフ…」
「(胃薬買いにいこうかな)」
「…にしても、アスランめ…」
覚えておきなさいませ……
written by SATOKA_sama