「ぅ…ん…?」
「起きたキラ?もうすぐ夕方だよ…身体大丈夫?」
「…ん〜…ダメ、っぽい。でもおなかすいた…」
「じゃあ何か持ってくる?」
「ん〜…の前に水…」
「はいはい。ほらキラ、口開けて?飲める?」
「…ん。……ありがと」
「じゃあ何か作ってこようかな。何が食べたい?」
「……あのね、アスラン…」
「何、キラ?」
「僕…君に言わないといけない事があるんだ…」
「何を?」
「…驚かないでね…あのね、僕ね、僕…実は……」
妊娠したんだ。
「………は?」
「君は気付かなかっただろうけど僕、昔ラクスの家にいた時あったでしょう?あの時にラクス、僕の身体を改造してたんだって…」
「………へ?」
「見た目はそのままだけど、その…子供も産める身体にした…って…昨日ね、知らされたばっかりで……最近ちょっと具合が悪かったのもそのせいだって…」
「……はい?」
「ね、どうしよう…僕はどうすればいいかなぁ、アスラン…」
「え。は…えぇ?……待て。ちょっと待て、誰が妊娠って…子供?いやだから誰の?」
「アスランと僕のに決まってるじゃないか」
「………は?えっと…………つまりキラが俺との子供を……ッ!?いや、待て落ち着け、落ち着くんだ俺!ほ、本当に……なのかキラ?」
「嘘だと思うの?確かにありえない話かもだけど、ラクスが言った事だよ?…僕だって信じられないよ…でも……」
「ラクス…なら、改造位やるだろうけど……じゃあ、本当なんだな?キラが……」
「……あんまり言わせないでよ…恥ずかしいんだからっ…」
「…………キ、キラ…俺はちょっと冷静になってくるよ。すまないがちょっと、待っててくれるか?もう少し落ち着いてから改めて話し合おう、な?」
「…うん……」
(フラフラと部屋からでていくアスラン)
「………ひっかかった…。ラクスの言うとおり本当にかかったよ…」
『ですから、言ったではありませんか。絶対アスランはひっかかりますわ、と』
「冷静になって考えれば分かるのにねぇ…」
『ですがこれでドッキリエイプリルフールの仕掛けは成功ですわ。後は夜の暴露パーティーですわね。準備はお任せを、キラはアスランを連れてきて下さいませね?』
「うん。皆の前で嘘だとバラされたアスランがどんな顔をするか…楽しみだねぇ?」
『えぇ。さて…ではそろそろ』
「ん…、あ、待ってラクス!君さ…一体いつからトリィと通信繋いでたの?」
『………キラ様の素敵なお声が途切れるあたり、からですわvv』
「……〜ッ!!(つまりイクとこらへんじゃん!)」
『では、私はこれで…』
(プツンと通信は切れる)
「………ラクス、それ、出羽亀って言うんだよ…」
仮にも全プラントのアイドルが、出羽亀……
剥き出しの肩を力なく落としたキラは、深く溜息をついた。
その頃…
「キラが子供を…いや待て、普通に考えればありえない!いやだがしかしっ…ラクスならやりかねない…いやラクスならばこそやる!きっと俺が想像もつかない技術でもってキラの身体を改造…ああっ何て事だっ!という事はキラの身体はラクスに弄ばれたという訳かっ?…許せんっ!許せんぞ、ラクスッ!覚えていろ、ピンクの魔女め!…だがまぁ今はキラの子供だ。相手は俺だと言うし…まぁ俺以外いる筈もないがな…俺とキラの子供、かぁ…きっとキラに似て可愛い子に違いない。瞳は紫で髪は茶色、向日葵のような笑顔でパパ〜…って…ああッ!何て幸せな光景だろう!息子でもいいが、やはり娘だよなぁ。うんうん…名前は可憐な感じで…」
トイレの中で延々と妄想を繰り広げていたという。
アスランが事実を知らされ、淡い夢を壊されるのももうすぐの事…。
終(アーメン)。
written by SATOKA_sama