「さぁ…いい子だ」
パトリックの手が頭を撫でる。
「いつ見ても美しいな……君は」
「ありがとうございます…ザラ閣下」
金色毛並みの猫・メインクーン(クルーゼ)がゆったりと微笑む。
「ぁ…」
不意に横から聞こえた頼りない声に、パトリックは目をむける。
「おや、キラか…」
茶色い毛並みに珍しいアメジスト・アイの子猫が自分を見上げていた。
「アスランは……」
「あぁ、すぐ来ると思うよ」
それを聞いて愛らしい瞳を更に丸くして喜ぶキラの様子に、パトリックの頬も緩む。
「キラッ!」
扉が開いて現れたのは他でもない、アスランだった。
「ア-スラ-ン♪」
「キラ-♪」
飛びついてきた茶ネコをギュッと抱き締めるエメラルド・アイの黒ネコ。
パトリックは表面上は穏やかに、内心は激しく歓喜の笑みを浮かべる。
「…おや、あっちの三人はまたケンカかね?」
パトリックが見た先には三匹の子猫――白毛のチンチラ(イザーク)と金色毛並みのアビシニアン(ディアッカ)、そして実に愛らしいスコティッシュホールド(ニコル)がいた。
「ケンカはだめだぞ!」
「ふぅんだ」
「イザ!」
「…ごめんなさぁい」
普段強気なチンチラの、耳を垂れて謝る仕草に、パトリックはついつい彼等を抱き締める。
「そんな顔をしないでくれ。私は君達が嫌いで叱ったわけではないのだよ」
「じゃあ好きですか?」
スコティッシュホールドが瞳を潤ませ子首を傾げながら尋ねてくる。
「あぁ、勿論だとも!」
パトリックは部屋にいる全員を抱き締めて言った。
「こぉんな可愛い子達に囲まれて、私は宇宙一の幸せ者だ」
―――そう、宇宙一の幸せ者。
「ザラ閣下大好きぃ!!」
「父上ぇ!!」
「ありがとぉ!おじさん!!」
抱きつかれては口々にそう言われ、パトリックは心底嬉しそうだ。
「あぁ、ありがとう。私は本当に幸せ者だなぁ。アハハハハハッ」
あぁ、実に幸せだ!!なんて素晴らしいんだ!!これぞ理想郷だぁぁぁぁぁ!!
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「――という素晴らしい夢を見たのだよ、シーゲル」
「お前も余命あと僅かだな……パトリックよ」
written by キタ様