とあるサイト様の日々感謝感謝な記念作品。
サイト名と管理人様の名前を忘れてしまった・・・(>o<)
キラちゃん女の子&アスランと幼馴染み設定のとある日常の一コマ。



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天然素材
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助けるのも、助けられるのも、きっとお互い様のことだから。

さほど大きいわけではない手の中に納まった小さなディスクに視線を落とし、キラは落ち着かない心地で小さな溜息を吐き出した。
たった一枚、外側だけ見れば何の変哲もないごく普通のディスクだ。
通常であれば何の問題があるはずもないし、日頃からプログラミングやらハッキングやらを趣味としているキラにしてみれば必需品と言っていい日常品。

それがやけに重く感じられるのは、中に入っているデータが決して好ましいと言えるものではないからだ。
面白いから是非見てみるべきだと友人に押し付けられたディスクの中身は少し前非常に話題になったホラー映画である。

面白いといわれれば興味引かれるお年頃ではあるのだが、如何せん怖いものが苦手でもあるキラは、もらった直後からずっとどうすべきか悩んでいた。
怖いもの見たさの好奇心は強い方だから、決して見たくないわけではない。
見たくないわけではないけれど、やはり怖いのは好きではなく。

さすがに昔のように眠れなくなるようなことまではないだろうが、夢見が悪くなるだろう事は確実。
そうとわかっているものに対して1人で鑑賞することなどもっての他であるキラがとるべき手段は常と決まったものだ。
不幸中の幸いとでも言うべきか、前評判からして非常によろしかった本映画は好評を博している。

が、以前同じ監督が監修した作品を見てあまりの臨場感に涙してしまった苦い過去があったキラは、今回ばかりは諦めるつもりでいたのである。


―――だが。

ふーと細い息を吐き出して、キラは通信を開いた。
少々気が重いようにも思えるが仕方がない、これが一番手っ取り早いのは確かだ。
キラは、ややしてから降りた許可に躊躇なく中へと足を踏み入れ、勝って知ったる足取りで部屋へと向かった。

キラの出現に、リビングのソファに深く体を沈みこませた幼馴染が顔を上げるを機会に、にっと顔に笑みを浮かべてみせる。
それこそ、先ほどの気鬱などまったく見せない表情で。
キラがひらひらと振ったディスクの存在に気付いたアスランは、苦笑を浮かべて立ち上がった。


「キラ、また貰ってきたのか?」

今度は何?
と、尋ねながら彼は、客人のためのお茶を用意する。
気を使わなくていいよと応えながらディスクをセットするキラは、映画の題名を短く告げた。
リビングに戻ってきたアスランは、困ったような表情でキラにカップを手渡した。


「…それ、大丈夫なのか?」

「だって、本当に面白いらしいんだよ。ジョルディが言って面白くなかったことなんてないだろ?」

「それはな。でもお前、そう言って貸してもらった前の作品で大泣きしたんじゃないか」

「…アスラン、君、大袈裟。ボク大泣きなんてしてないじゃない」

「でも泣くほど怖かったことは事実だろ」

「…ちょこっと滲んだだけだってば。かじりついた爪跡が残ったくらいでいつまでも根に持っちゃだめだよ、アスラン」

「…2日は消えなかったんだぞ?」

「うーん、ごめんね、アスラン」


不服そうなアスランを笑顔で流して、キラはディスクを再生させる。
緊張感を煽るBGMを聴きながら、キラはアスランが腰掛けたソファの前に大きなクッションを抱えて座り込んだ。
そこはホラー映画を見る時のキラの定位置だ。
ローテーブルと、ソファに座したアスランの足の間の僅かな隙間。
さほど長くはないスカートを整えたかと思えば、身を小さくし真剣な瞳を画面に向けるキラ。

に、いつものことながら、上から呆れたような吐息が降った。


「…キラ、それじゃ床が固いだろ?」

「平気。なんかちょっと寒いし、ここあったかいし。床暖房っていいよね」

「だからってそこじゃ狭いだろ?寒いなら空調の方を…」

「ならアスランはボクが後ろから襲われてもいいっていうの?」

「……………」

アスランの言を遮りキラが放る強い声。
不穏な台詞に黙り込んだアスランを置いて、キラは拳を握って熱い調子で言葉を継ぐ。

「首筋を冷気に撫でられて、ぞくっとする感触に振り向くと暗闇の中ぞっとするような仮面が浮いて、笑みを刻んだ時には息の根が止まってる…大事な幼馴染がそんな目にあっても構わないっていうんだ。アスラン、いつからそんなに薄情になったのさっ!」

たかだかホラー映画を見るだけでそんな目にあうものか、と語るアスランのじとっとした視線に真剣な様子で向き合って、キラは「だからボクはここがいいんだ」と締める。
要するにキラは、集中している間背後が無防備になるのが嫌なのだ。
例えソファの背もたれがあっても安心できない。
前後挟まれたその場所であれば後ろはアスランがいてくれるから安心できる、という理由。

尤もその理論で言えば、アスランとて危険であり、キラはアスランを犠牲にして助かろうとしていることになる。
それが事実であれば非常に手前勝手な理屈であるが、そんな事態が起こりうるはずがないと解しているアスランにとっては、堪えるようなものではない。
ちゃっかり自分の居場所を決定するキラにほんの少し腹がたたないでもないが、ここにいれば安心だとするキラに別の感情が沸かないでもないので、それ以上問うことはせず、アスランは諦めて画面に視線を投げた。


「…なん、か」

ぽつり、キラが呟いた声に背後の視線が動いた気配がする。
少々卑怯な気がしないでもないが、胸に蟠るものを吐き出すには今がチャンスだ。
多少ずるいことだとしても、物語の中のことなら許されることもあるだろう。
独り言のような素振りでキラは、画面の中、優等生故のやっかみを受けている主人公に目を眇める。

「…こういうのってちょっと切ない。本人は一生懸命やってるだけで、なのにこう、正当な評価が下されないのって、悔しい」

「…別に、彼女はキラじゃないだろう?」

「わかってるよ、でもさ、端で見てると…特に、こんな風に近くで見てるとさ、色々とわかっちゃうわけじゃない。最初のきっかけが何であれさ、本当に頑張ってるのは本人なんだ。与えられた評価は努力に見合った結果であって、偽者でも、ましてや誰かの栄光を借りたものでもないんだもん。なのにこんな仕打ちじゃ、怒りたくもなる」


影でひそひそと、しかしこれみよがしに。よってたかって文句をつけられている主人公は決して好かれているようには見えない。
理不尽だと感じてはいるだろうが、画面の中の少女は文句を口にすることもない。
その無反応にこそ周囲が苛立っているのはわかるが、彼女はここで騒ぎ立てることが得策でないことを知っているのだ。

それは、賢い処世術なのかもしれない。
けれど同時に必死に自分を守る唯一の術のようにも映って、かえって胸が締め付けられるような心地がしてしまう。
そう感じてしまうことこそむしろ、侮辱なのかもしれないけれど。

「うーん…」

難しい、とキラが唸ったところへ、アスランの静かな声が届く。

「…でも、言える機会があるのに言わない方だって悪い。それに、実力を示すには結局結果を出すしかないんだ。口でいくら言ったところで弁解にしかならないし、被害者面したくないと思うのだってプライドなんじゃないかと思うぞ。それに、事実本人の力量だけじゃどうしようもないこともあるからな。恵まれなかった他から見れば、腹立たしいと思うのも一理あるんだろ」

「…そういうの、八つ当たりっていうんだと思ったけど」

「それも、どうしようもない人の感情だな」

淡々とした声音で紡ぐ言葉にキラは徒端不機嫌になった。

「…わかるけど、わかりたくない」

「…今日はやけにつっかかるな」

「アスランの物分りが良すぎなんだよっ」

「そうでもないと思うけど…そもそもなんだってキラがそんなに怒る必要があるんだ?」

「…どんなに言い聞かせても嫌なんだから仕方ないじゃないか!」

振り向き様、声を荒げたキラにアスランが瞠目する。
キラの興奮を宿した表情に、暫し後、はっとした様子を見せるアスラン。
見ていて分かるほど変化した顔に気付いて、キラは慌ててアスランに背を向けた。

「…だからって喧嘩するわけにもいかないし、第一そんなの、キラは嫌いだろ?」

ごく簡単にかかる声音に気遣う色が覗き、キラは密かに唇を噛んだ。何時の間にか移っていた話の論点を彼に見抜かれてしまったことは明白だ。

「…どうしてもって言うなら、許す、よっ!」

自棄になって叫んだキラの言葉が、柔らかな苦笑に受け止められる。
行き所のない憤りを包み込んでくれるような温もりがごく近く、キラは眉根を寄せて顔を俯けた。

(…何やってるんだ、ボクは)

こんなつもりではなかったのに、とキラの中で後悔が渦巻いた。
気遣いたかった、優しくしたかった、心落ち着けて欲しいと願った彼に、自分が慰められてどうする。
うー、うー、と堪えきれずに低く小さく呻くキラ。
必死に葛藤するキラの肩、僅かな苦笑と共に、そっと静かな温もりが触れる。
促すようなそれに、けれども暫くの間不貞腐れていたキラは、首だけを仰向けアスランに視線を合わせた。
新緑を映す翡翠が柔らかくキラを捕らえて、細められる。
あまりに優しい眼差しにキラは、尖らせたままだった唇を解いて大きく息を吐きだした。



プラントでも有数の実力者を親に持つアスラン・ザラは周囲からも一目置かれる存在だ。
ただそれというだけで、妬まれることも一線を引かれることも多く、だが彼は、その名に屈しない努力を続けてきた。
親の七光りと呼ばれぬように。
所詮名だけなのだと言われぬように。
アスラン・ザラという己自身の、ために。

キラは、幼馴染がどれほどの努力を続けて今の立場を確立したかを知っている。
だからこそ、誰より努力していると思う彼が、不当な扱いを受けるのは嫌だと思うのだ。
けれど決して彼のためとはいえない己の不満は、非常に身勝手な類のものである。
アスランを理由に喧嘩するような真似も、たぶんこのまま頭に血がのぼればできてしまうのだろうが、最終的に迷惑がかかるのは彼であり。
それをわかっていて愚かな真似がキラにできよう筈もない。

それに、例えば自分に向けられたものならば笑ってやり過ごせる感情を、堪えることもできるだろう痛みを、彼に向けられた時だけは耐えられないと思う酷く利己的な様に思われた。
それはまるで、結局は誰かのためと言う理由を欲しているに過ぎないように思える。
そうした理由がなければ、動くことのできない自分に、体のいい言い訳をしているのではないかと疑いたくなるのだ。
ぽん、と優しく肩をたたく温もりに押されて、キラはそっと姿勢を元へと戻した。


「…駄目だなぁ」
ボクは。

言いながら、キラはおもむろにクッションを脇へと除けて膝をついた。
くるっと背後を振り返り、瞬くアスランの頭に手を伸ばす。
そのまま、少し癖のある藍色の髪を優しく上から撫ぜた。
柔らかな感触を優しくかき混ぜ、キラは軽く目を見開くアスランに首を傾け苦笑を浮かべる。
弁解のための言い訳を並べ立ててばかりいると、結局自分の問題に立ち返ってしまうばかり。

どれだけ自分が好きか知らないが、今日ここを訪れた目的はそんなことではなかったはずだ。
キラは、子供をあやすようによしよしとアスランの頭を撫で続けた。
そんなことくらいで、彼の想いが報われるだなんて思わないけれど。

(ボクにできることなんて、せいぜいそれくらいだし…)

生真面目で少し意地っ張りなところのある彼が、自分に素直に甘えてくれるとも思えないから用意した場はとっくに崩れてしまっているのだから仕方ない。
いいこ、いいこ、と撫で続けたキラは、大人しくされるがままになっていたアスランがやや顔を俯けてから手を離した。

藍色の髪の隙間から覗く耳が薄っすら染まっているの気付き、さすがに気恥ずかしくなったのだ。
キラは妙に気まずい空間をどうにか払拭しようと頭を捻るが、やはり頬が熱くて妙案自体が浮ばない。
仕方なく、アスランの頭を軽く2回ほどたたき、それで終りの合図としてしまう。
アスランなら、きっとわかってくれたはず。

「―――よしっ続き、続き!」




2人を置いて流れていく映像にはまったくそぐわない声音で宣言するキラに、アスランは口元に隠しようのない笑みを浮かべた。
キラがアスランにした子ども扱いに、どうしてか怒るより先に喜びが勝ち、アスランはその後何を言うこともできなくなってしまった。
キラのどこまでも優しい手つきにどきりとしたのは、単なる気恥ずかしさからだけではないのだろう。
キラが示したもどかしさに対する想いを口にするタイミングをみつけることはもうできない。
ならばどうしたらいいか、アスランは映画そっちのけで考えた。

ここ暫く父親の手伝いで学校を休んでいたアスランは、そんなブランクなどものともせず、休み明けに実施された校内模試で優秀な成績を収めた。
それが教師達に過剰なほど絶賛されて、全校集会の話題にまでのぼったのはつい先日のことだ。
彼を酷く褒めちぎった理事らのおかげで、今まで以上に下手な注目を浴びる事態に陥ったアスランは、それ故の被害も幾つか蒙る羽目になった。

正直理不尽だと感じることは多かったが、仕方のないことだと諦めていた。
誤解が多く生まれてしまうのは人付き合いが巧いほうでない自分自身も悪いのだ。
とはいえ、親の立場を利用し媚を売って歩いているのだ言われれば反論のひとつもしたくなるし、悪質になって顔と体を餌に順位を買っているなどという侮辱にあたれば腹も立つ。

遠巻きに見られる視線は決して居心地良いものではなく、確かに溜息の回数は増えたと思う。
アスランにとっての学校が、今までそう居心地悪いようなものではなかっただけに尚更だ。
胸が塞がれる心地は今だけのもの、噂が消えれば自ずと静かにもなるだろう、と。


思って割り切らなければやっていられなかったのは事実だ。
だからこそ、こうした時、自分に負けじ劣らず心配性になる幼馴染に愚痴を零すことはできなかった。
ほんの小さな変化も本能で察知するキラが、気付かないはずはないし、隠しおおせるものではないとわかってはいたが、そこはアスランのプライドだった。
キラが与えてくれた優しさに、既に溶け消えてしまったしこり。

何もない掌を見つめ、アスランは心内で白旗を揚げる。
自分が張った妙な意地を看破され、悔しいと思う気持ちもないではない。
けれどアスランには、興奮に僅かに涙を滲ませたキラを見て、まだ突き通さなくてはならないものがあるとも思えなかった。


何時の間にか物語に入り込んでしまったらしいキラの肩が、画面の中突然開かれた扉と共にびくりと揺れる。
製作者冥利に尽きるのではないかと思われる怯えように、堪えきれず笑い声が漏れた。
気付いたキラが上目遣いにアスランを睨んでくる。

「…ごめん、キラ。謝るから…ちょっと、」

言いながら腰を屈め、キラの両脇に手を差し入れたアスランにキラがぎょっとした。

「えっはいっ?!ちょっとアスランっ?!」

「…いや俺もちょっと寒くなってきて」

わざとらしく震えてみせたアスランは、抗議を無視してさっさとキラの体を持ち上げる。
突然の浮遊感に慌てるキラを抱え込んだアスランは、己の前、僅かにできたスペースにキラを座らせた。
アスランの足の間に納まったキラの背中を後ろから包み込み、丸い頭に顎を乗せて一息つく。

「…アスラン?」

「ああ、これでちょうどいい」

これで満足、とばかり。ほう、っと息を吐いて終りにしようとするアスランにキラが噛み付いた。

「…いつからボクは君のホッカイロになったんだ!寒いなら空調あげればいいだろ?!」

「そこまでするほどじゃない」

「ボクはさっきの体勢がいいんだよっ」

「後ろが心配なら、こうしてた方が確実に安全だろう?」

「―――つっ!」

焦れったそうに言い募るキラにしれっと言い返すアスラン。
顔を赤くしたキラが言葉に詰まる。
おそらく、自分の頬も赤いのだろう。

うーん、と小さく唸りながらも、アスランはキラを支えていた手を外して伸ばす。
アスランが伸ばした腕をキラの腹部できゅっと組みあわせると、幼馴染は益々焦った様子で彼の名を呼んだ。
彼女の体温が常より高いことに気付きながら、アスランはキラを捕らえる腕に僅か力をこめた。
アスランは、ぐんと近くなったキラの好ましい香りに、表情を穏やかなものへと変える。


「…自分ではうまく言えないことでも、代わりに言ってくれる誰かがいたら、それだけで十分幸せなことだよな」

決して成り代わるわけでも、押し付けたいわけでもないけれど。
例えば決して口に出来ないことでも。公に言えない抗議でも、文句でも何でも。
耐えるしかない己の代わりに怒ってくれるような人がもしも傍にいたなら、それだけで心は救われる。

頭から顎を外しキラの髪に密着した状態でアスランが発した小さな呟きはキラの耳へと届けられた。

例え抱えた想いをどうすることもできずとも。
例え怒り湛えてくれた相手が発散する場所がなかったとしても。
自分という人間を想ってくれる人がいると思えるだけで、癒される心地が生まれるのは確かだ。

「…キラ」

瞑目し、アスランはキラの耳朶に囁きかけた。
自分がいつもの調子に戻るための一番てっとり早い手段はきっと、いつもいつも素晴らしい程手間をかけさせてくれる幼馴染の世話を焼く状況を作り出すことだ。
さすが長年一緒に居ただけのことはあるというか、キラの読みは間違ってないとアスランは思う。
何とも単純な自分に笑いが漏れた。

そして―――気付く。

「キラ…泣かなくても」

「…泣いて、ないっ!」

やや震えた声で言い返すキラに、でも、と言いさしたアスランを遮る声。

「だから…っ怖い、だけっ!」

必死に画面を指差したキラに、アスランは笑みを深めた。

「…大丈夫、ここにいるから」

頭をなでるよう優しく紡がれた声音に、キラの肩がきゅっとあがった。
そっと覗き込んだアスランの目に映ったのは、真っ赤な頬。

「…キィーラ?」

何やら酷く暖かい心地に包まれている。
零れる声はとても甘いものであるかのよう感じられた。
暫くの間、包みこんだキラの体を軽く揺らすアスラン。
黙り込んだキラが、観念したよう顔を上げたのは一体何分後だったか。
長いようにも短いようにも感じられた時間は、居たたまれないと思うほどの気恥ずかしさと擽ったくなるほどの幸せを運んでくれた。

深いアメジストと、エメラルド。

二対の双眸が見つめあい、そっと距離を縮めていく―――…


途中に。




「………きゃああああああああああああああっっっ!!!」


響き渡った断末魔の悲鳴に、2人同時に肩を揺らした。
思わず発生源に視線をやれば、流れているのは緊迫感を増長させるおどろおどろしいBGM。


「え…っと……………」


顔を見合わせて、2人は何ともいえない表情を浮かべた。
どちらも真っ赤な顔であることは今指摘することはできない事項である。


「…最初から見直すか……………」

「…………………………そうだね」


次いで零れた溜息がどちらのものだったのかは、定かでなかった。

written by ?様
※オーナー様、ご覧戴いているようでしたらご連絡下さい。サイト名&管理人様のお名前を明記します。

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UpData 2005/12/08
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