【また会える日まで】
幼年期設定のアスキラ。
「コーディネーターだから・・・僕、友達が出来ないの」。そんなキラにアスランは・・・。

それにしても、子供は残酷な言葉を平気で吐くモノだ。

【君という光】
種戦後のアスキラ


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また会える日まで
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アスランと僕が最初に会った場所も、あの桜並木の下でだった。

その時の僕は周りに友達と呼べる者もいなくて、1人で寂しい毎日を過ごしながら耐え抜いていたんだけれど、月にいるコーディネイターは数少なく、僕がその中で唯一浮いてい る存在だった。

第一世代コーディネイター。

それが僕の事。


『だめよ。あの子と遊んじゃ』
『どうして、ママ?』
『あの子は我々と違いコーディネイターだから、いつ襲ってくるかわからないんだよ』
『コーディネイターって何?パパ?』
『遺伝子を書き換えた、“化け物集団”さ!』



─────イデンシヲカキカエタ、バケモノシュウダン─────



偏見と差別の固まりだった。

僕がナチュラルの両親とは違う別の存在だから?
僕が何をしたと言うの?
僕は───僕は、ただ・・・友達を作りたかっただけ・・・。


『───別にいいもん!僕は1人でいるのにも慣れてるから……』


そう、自分の心に嘘をつきながら、1人で桜の木の下で静かに泣いていた。
6歳の子供にしては少し人付き合いが良くない子供だと思われていたけど・・・。
僕にはそれが精一杯の強がりだったんだ。

そんな僕に光を与えてくれたのが─────。


「何を泣いてるの?」
『─────………』
「誰かに、虐められたのか?」
「───君は……誰?」
「俺はアスラン・ザラ………君は?」


アスラン・ザラ。
僕の唯一の友達でもあったけど、いつの間にか友達以上の存在になってしまった。

かけがえのない、失いたくない僕の大切な人。
恋人同士とは言いふらせる事ではなかったけど、それでも僕が唯一この世で好きになった愛しい人だった。


「……キラ・ヤマト。僕がコーディネイターだから、誰も友達になってくれなくて……」


そう、僕が泣きながら言うと、アスランは喜んだように僕に笑顔を向けて─────。


「一緒だv俺もコーディネイターだから、友達になってくれるヤツいなかったんだ。でも、キラとなら人種が違っていても友達になれるけどな〜俺はvvvだから、俺と一緒に遊ばないか?」
「うんvvvこれからも宜しくね、アスランvvv」


僕に手を差し伸べてくれたのはアスランだけだった。
でも、それでも嬉しかった僕は、泣き顔から笑顔へとかわり、アスランの差し出した手へと自分の手を差し出し、初めて友達が作れた瞬間でもあった。

偏見や差別など関係ない、唯一の仲の良い友達。

それをずーっと待っていた僕だったから、アスランが現れた事に対して神様にありがとうて言葉を何度言っても足りない程、僕の悲しく荒れていた心は嘘のように穏やかになる。

そして、その後もアスランと一緒に、月の幼年学校でも仲良く一緒だった。





「あれ?アスラン遅かったね?どうしたの?」
「いや、ちょっとな……」


僕が笑顔を取り戻してアスランと常に一緒にいる頃から、アスランは時折僕の側を離れる事があった。


『まさか、キラへ群がる害虫駆除していたなんて言えない……』


と、アスランだけに秘められた隠し事もあったけど・・・。


「───なぁ〜キラ……」
「なぁ〜に、アスラン?」
『うっ!!?』
「……???」
「……キラ、頼むから……。その笑顔を俺以外には見せるの止めてくれ……」
「……どうして?」
『はぅ!!?キラの笑顔を見た害虫が、キラに惚れて集まり出すから……。なんて、言える訳ないよな……キラ、鈍いんだもん……。はぁ〜害虫駆除このまま続行だな……』
「アスラン?」


何度僕にアスランがそう言っても、僕はアスランが考えている事には全く気が付いていなくて、つい笑顔でもってアスランに答えていたんだ。

だけど、アスランはそんな僕に解りやすく説明しようと、自分から行動に出て僕へと教えてくれようとしていた。


「それは、俺みたいな事を考えている者が─────」
「─────えっ?」



─────ちゅっv



「キラにキスしたいから〜vvv」
「ア、ア、ア、アスラン???」


唇と唇が軽く触れ合うキスだった。

最初は戸惑って焦っていた僕だけど、アスランの行動や言葉の一つ一つを良く考えれば、アスランが僕の事をずーっと前から好きだったんだと改めて思い知らされる。

でも、それは─────嫌な感情ではなく・・・。

僕もアスランの事が大好きだと、今改めて知った事だった。


「…ぼ、僕も……アスランの事─────」
「キラ?」



─────ちゅっv



「大好きだよv」


アスランがしてくれた事を僕も同じように、唇と唇をそっと触れ合わしただけのキスを、アスランへと軽く押しつけた。


「キ、キ、キラ!!?ほ……本当に?」
「うんvアスランの事が一番大好きvvv」
「キラ〜vvv」


アスランにとってはてっきり嫌われる事をしたのだと思ったみたいだけど、僕はアスランの事を嫌いになるどころか・・・ますます好きになっていたんだ。
だから、アスランだけに満面の笑顔を見せてあげていた。
アスランも僕にだけ笑顔を見せてくれる特権付きだったから、僕はそれだけで十分な程の幸せを分け与えていてくれたんだ。


幸せは1人では手に入れる事はできないけど、2人なら可能な事も十分引き出す事ができて、溢れる程の幸せを手に入れられる事となった。
だけど、その幸せがいつの間にかガタガタと、大きな音を立てて崩れようとはその時の僕とアスランには気が付かなかった。
地球軍とザフト軍との戦争に巻き込まれる形となって、僕達はそれぞれ離ればなれになる時が訪れただけの事。



─────ザァアアア〜………



風に揺れて桜の枝から、いくつもの花びらが舞い上げられていく・・・。
その花びらは僕とアスランの頭上へと、静かに舞い落ちてきてそっと地面へと落ちる。


「心配ないさ……。プラントと地球で戦争なんて事にはならないよ……。だから、避難なんて必要ないと思うけど………」
「……うん………」
「キラもそのうち、プラントに来るんだろ?」
「……本当に、行っちゃうの?」
「うん。父上が戻って来いって言われたから……」
「アスランと離れるなんて嫌だよぉ〜!!!」
「俺だって、キラと離れたくなんかないっ!!!」


向き合ったお互いの顔には、少しだけ涙の跡が残っていた。


《トリィv》

「アスラン?この子……?」
「キラへの俺からのプレゼントだよvvv」

《トリィv》

「トリィが俺の代わりだと思って、大切に持っててくれvvv」
「うんvありがとうね、アスランvvv」
「だから、泣くなって……。いつか。いつか……必ず、俺がキラの事迎えに行くから、それまでの間だけの辛抱だから……」
「うん。……うん……」

《トリィ〜?》


アスランの優しい思いに、また僕の目から大粒の涙が溢れてくる。
いつかアスランが僕の事を迎えに来てくれると思うだけで、僕は誰よりも幸せだと思えて涙が止まらなかっただけなんだ。
それを、アスランから貰ったトリィも、アスランと同様一緒になって心配してくれた。



それから数時間後。
アスランはプラントへと帰国してしまった。


《トリィ?》

「大丈夫だよ。少しだけ寂しいけど、僕にはアスランから貰った大切なトリィもいるからねvvvだから、トリィは心配しなくていいからね?」


と、アスランへと向ける笑顔をトリィへと向け、僕なりの精一杯の強がりだった。

だけど、寂しいなんて思わない。
いつかアスランが僕の事を迎えに来て─────。


『泣き虫だなぁ〜キラはvvv』


と、笑われたくないから、僕はあんまり泣かない事に決めたんだ。
だから、笑顔でもってアスランを待ち続けようと思う。


「いつか、アスランと会おうね〜トリィvvv」

《トリィvトリィv》


それまでの間だけの辛抱。
また会える日までの約束・・・。

だから、絶対迎えに来てね、アスランvvv





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君という光
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戦争が終結して1年が過ぎようとしている。

その間に学んだ事。
それは果てしない日々の記録。
憎めば憎む程、戦争はきりがなく続くという矛盾なモノ。

死を受け入れ。
人を許し。
人を殺さず。
早く戦争を終わらせる。
それは簡単なものだけど。
本当は、一番難しかった事でもあった。

何が悪くて、何が良くて。
先が見えない迷路へと進んでいたあの日。
ただ、目の前に見えたのは、誰でもない君という光。
それは僕でもあり、君でもあった。
だから、僕は忘れないだろう・・・。

アスランが、いつまでも目の前にいるんだという思いを・・・。



「───何、キラ?」

「ううん。なんでもない」

お互いがたまに不安になった時は、お互いの体を寄せ合って温もりを確かめる。
俺が不安になる時は、キラを抱きしめる。
そして、キラが不安になった時は、俺を抱きしめる。
理由などはお互い何も聞かずにが、お互いの沈黙のルール。
それが俺達が一緒にいる理由。

「不思議だね……」

「何が?」

「こうして、一緒にいられるって事がね……」

「……ああ……」

「あの時は、自分の事に必死だった。相手の気持ちなど考えられないぐらい、冷静さが失っていたのに……」

また、キラは昔の事を思い出したようで、どこか不安げに寂しく瞳を揺らす。
そんなキラへと、俺は─────。

「でも、今は違うだろ?」

「……うん……」

「あの時は自分の身を守る事が優先で、お互いの気持ちに全然気が付く余裕などなかった。でも、俺はあの時の事を後悔したとは思わない。こうしてキラを取り戻せたし、キラといつまで一緒にいられるか先の事など分からない。だけど、俺は一分一秒でも過ぎてしまった時間を取り戻すべく今を生きている。幸せなら何も怖くはない。キラが側にいればねvvv」

「もぅ!アスランたらぁ〜!!!」

そう、キラへと告げてより安心させていってやる。
少しでも落ち込んだキラの気持ちを、明るい方向へと変えてやればいいだけの事。
何、悩むことは無いんだ。
俺が側にいてやれば、今度は間違った方向に進む事なんてないから・・・。
だから、俺はいつまでもキラの側にいつづけたいと思う。



「───雨、止まないね……」

「ああ」

アスランは僕の秘密を知った今でも、昔と変わらず優しく僕と接してくれている。
それは1人の人間として。
僕を何者という偏見の眼差しではなく。
例え、作られた僕など関係ない感じで。
最高のコーディネイターと思わないで。
僕を好きだと思う想いの深さは、誰よりも比べる事はできないだろう。
だから、アスランがいれば僕は迷わないでいられる。
側にいて良いんだと安心する。
他の人の思いなんか関係ない。
アスランが僕を見てくれているのなら。
僕へと笑ってくれているのなら。

僕は、それ以上何を望むのかな?
最高の笑顔と共に、僕の名を呼んでくれているアスランに、これ以上望む事などない。
だから、不安に揺れていた僕の瞳は、アスランと言う光の希望を手に入れたから、僕は何
も迷わずに笑顔をアスランへと向けられるだろう・・・。



─────ピー!



「ん?」

「あはは、またエラーだvvv」

「そう言うけどな〜。キラに引っ付かれたままじゃ、手も自由に動かすのもできないし、ついミスしやすいんだ……」

「そう?」

「そう!」

僕がアスランに抱きついてから、目の前のパソコンから何度もエラーミスを教えてくれる、金属音の音が耳に聞こえてくる。
アスランは僕が抱きついた事で、手を自由動かせないだからと文句言うが。
そんなに、僕・・・・力込めてないよ?



「でも、抱きつかれて嫌じゃないでしょ?」

「まぁ〜な」

「あ、何!!?その嫌みな言い方?」

「誰も嫌だとは言ってないが?」

「だったら、もっと素直な反応見せられないのかなぁ〜?」

「素直な反応ね〜。見せろとお願いされたら、黙っていられる男なんていない!!」

「─────アス……んんっ!!?」

大好きな恋人に抱きつかれ、おまけに素直な反応見せろと言われては・・・。
目の前の仕事など、今更手にもつくハズがない。

だから、俺はキラの口に俺の口を重ね合わせ、恋人達がするキスを甘く交わした。


「!!!……誰が、こんな反応見せても良いって言ったの?」

「キラがねvvv」

「僕は、言葉で表現して欲しかっただけ!」

「でも、キスされて嫌じゃないだろ?」

「うぅ〜!アスランのスケベ!!!」

「あ〜酷いな!恋人に抱きつかれ、要求されてきたら、誰だってその先へと進みたくなるのが普通だろ?だから、俺は自分に素直になってキラへとキスしただけvま、その先を要求されれば、いつでも相手になりますけどね〜?」

「!!?嫌だよ!アスランだって、仕事……溜まってるんでしょ?急ぎの仕事とか……」

「あるよ」

「だったら、僕の相手している場合じゃないって!!!」


そう、キラとの果てしない追いかけっこをして、キス以上の関係へと発展したくて、キラに追いついた俺はすぐさま抱きしめ、床へと倒れ込んでいった。

「あ!」

「ん?」

床から見えた外の光。
いつの間にか雨は止んでいて、雲の間から光が差し込んでいた。


「虹だぁ〜vvv」

「綺麗だな……」
「うんvvv」

そして、晴れていく青空に見えたのは、七色の光が輝く虹。
その光を瞳に映しながら、俺はキラを押し倒した事などすっかり忘れ、キラと仲良く窓か
ら見える空と虹を見つめ続けた。

「あ、そうだ!アスラン、外へ行こう〜vvv」

「ん〜?さっきは俺に仕事をするのが、大切だと言ったのは誰でしたっけ?」

「あはは〜。そんな事言った?」

「言いました!」

再び、キラへとその事を問いつめれば、キラはいつものように忘れたと言ってくる。

「でも、虹が消えちゃったら嫌!だから、綺麗な虹見に外に行こうよ〜アスラン?」

「───やれやれ。キラの我が侭には相変わらずだな……」

「そんなの、お互い様でしょ?」

「はいはい。虹が消えないうちに、見に行くとしますか?」

「うんvvv」


そして、キラと一緒に手を取り合って、俺達は庭先から外へと飛び出した。
地面は雨に濡れていたけど、それでも気にしない感じで。
雲の切れ間から光が差し込み、キラの頭上へと照らしてくれる。


「アスラァ〜ンv早く〜早くぅ〜vvv」

「はいはい」


君がいるから、俺は何も恐れたりはしない。
君という光がソコに待ち受けているから。
だから、君が笑って過ごせる毎日を贈ろう。
泣く日も、後悔する日も、あってもいいじゃないか。
それは、いつか良い思い出と変わるかもしれないから・・・。
だから、俺はキラと共に、希望の道を歩んでいこう。
途中で何かが起こるかもしれないけど、それは2人なら乗り越えられるから。
それを信じて・・・。


いつまでも、君の光でありつづけたい。
written by INVOKE&Dream House:y都筑春香様

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UpData 2006/01/31
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