【パーフェクトな恋をしよう】種設定のアスキラ同姓。朝からラブラブ〜なお二人様♪
【1/3の純情な感情】マリュー保母&ムゥ保父の元で皆に愛されているキラちゃん、総受け。
【Ziggurat】キラin ZAFT。
【常闇の影】思考が全てキラで埋め尽くされているアスランの1日(って何時もと一緒じゃん)。


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パーフェクトに恋をしよう
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同棲。

その言葉は一見良くない例え方なのかもしれない。
だけども、俺達は男同士なので、結婚どころか籍すらも一緒にはなれない。
養子縁組をすれば籍は同じになるけど、それではキラを妻として迎える事は不可能だ。

何故、こうもこの世の中は同性同士の結婚は認められてないのだろうか。
一部の国では認められているかもしれないが、未だにプラントでは認められていない法律。

だから、俺達はお互いを愛し合い、一緒になる為に同棲する事を選んだ。



─────チュン、チュン。


「おはよう」
「……おはよう」

朝の目覚めには鳥のさえずりの声が目覚まし代わりとなる。
お互いが寄り添い、一緒になって目を覚まし、ニッコリと微笑みながら交わす朝の一言。

キラは目をゆっくりと擦りながら、可愛く笑顔を向けて挨拶を交わしてくれる。
それが俺には最高の贅沢で、誰にも渡したくないと思える朝の安らぎ。
ごそごそっとシーツの中で、キラは俺へとピトッとくっつき、嬉しそうな顔をしてすり寄
って来てくれる。


「───何?」
「髪の毛、だいぶ伸びたね?」
「ああ、そう言えば……伸びたな……?」


未だにベットの中から起きようとせずに、すっかりと伸びきった俺の髪の毛を片手で遊んだり、掴んだりして長くなった事を知らせてくれる。


「じゃあ、買い物のついでに髪切ってこようかな〜?」
「え〜。アスランの髪、綺麗なのに……。切るのもったいないよ〜」
「って言ってもな〜。少しばかり鬱陶しくなってるし……」
「ダメ。伸ばしていて!」
「はいはい」


キラの我が侭は今に始まった事ではない。
だから、キラが髪の毛を切るなと言えば切らないでおこうと思う。


「さて、そろそろ起きようか?朝食の手伝いとか朝の手伝いするから、それを済ましてから一緒に買い物でも行こうなvvv」
「うんv」


そう約束して、いつもベットから降りる時は、必ず挨拶代わりにキスを交わす。
そして、軽くお互いシャワーを浴びて、歯磨きや顔を洗って髪の毛をブラシッングしたりして、衣服へと支度をしてから朝ご飯の用意をしていく。



「で、アスランは、卵の焼き加減どうする?」
「ん〜?俺は半熟でv」
「分かった、半熟だね」


キラが目玉焼きを俺好みの堅さに仕上げてくれる間に、俺は朝食用のパンをトースターに入れてセットし、皿を取りだして飾れるようにとセットしてやる。
カリカリのベーコンに、ちょっと甘くした人参。
半熟の目玉焼きに、サラダとトースト。
そして、コーヒーを用意すれば朝食のできあがり。

「いただきますv」
「いただきます」

手を合わして挨拶を交わしてから、俺はトーストにバターを塗る。
一番最初に食べるのはやはり、半熟の目玉焼き。
コレが堅くなると味がおいしくなくなる。
だから、先に食べながらトーストをカブリと噛んで食べ、コーヒーでもってノドを潤す。

「うん、おいしい」
「そう?良かった〜vその代わり、人参残さないでよ?」
「クス。ちゃんと食べるよ。キラもサラダにあるセロリ残すなよ?」
「えっ!?いつの間にセロリなんて入れたのさ!」
「さっきv」


うへ〜と顔をしかめて嫌がるキラの顔。
俺はそんな顔をするキラも大好きだと思える。
誰だって好き嫌いはあると思う。
だけど、それを延々放置すれば、いつまで経っても食べる事はできない。
だから、心を鬼にして、あえてサラダの中へと、キラが目玉焼きを焼いている時に加えたのだった。
そして、それを全部覚悟の上で、俺もキラも嫌いなモノを必死に食べていった。




「忘れ物はないな?」
「うん。無いよ」


朝食の後かたづけや、食器を洗ったり、洗濯物を干したりとか終わった。
鍵の閉め忘れも無いし、電気は全て消し終わり。
サイフも持ったし、特に忘れ物をした覚えもない。
全ての準備を整え、コートーを羽織って靴を履き─────。

「じゃあ、出発〜♪」

と、嬉しそうなキラの一言で、俺の手を取り外へと飛び出して、玄関の鍵を閉めて通路を歩く。
エレベーターのボタンを押して、億ションとも呼ばれるマンションの最上階から、地下にある駐車場へと向かって止めてあるアスラン専用の車へと乗り込んで出発した。

「さて〜、何、買い物しようかな〜v」

運転する俺の横の助手席にのったキラは、ウキウキとコレから向かうデパートへと、今日の買い物をいろいろと考え思い浮かべている様子。
そんなキラへと運転をしながら、声をかけてやる。

「何、買う予定なんだ?」
「ん〜と、今日の夕食の材料に、冬物の服とか靴とか、洗剤とかいろいろ」
「クス。それじゃあ、主婦の買い物だな……」
「え〜、だって。必要なのを真っ先に考えると、コレばっか浮かんでくるんだもん、しょうがないじゃない!」


ぷ〜と頬を膨らませてぶーたれるキラの姿は、ハッキリ言って可愛いモノ。
そんなキラへ他にも何か買うのはないかと、アスランは笑いそうな顔を引き締めながら優しく言う。

「で、それで。他に、キラが買いたい物とかないのか?」
「ん〜、少し大きいテディ・ベアのぬいぐるみ!」

まさか、キラの口からぬいぐるみの話が出るとは思わなかった。
少しばかり驚いた俺だが、すぐにいつもの優しい顔へとなって─────。

「良いよ。キラが欲しい物、何でも全部買ってあげるv」
「やったぁ〜♪」


何だか昔に帰ったみたいだった。
昔もキラが欲しい物を買ってあげると言えば、こんな風に大喜びしてくれた。
その嬉しさで溢れかえる笑顔を見れるのなら、俺はデパートごと買ってあげても良いと思ってしまいたくなる。
ただし、そんな事を言えば怒られるのは間違いないが・・・。
と、言うより、一度だけ言って思いっきり怒られた事がある。


『アスランはそんな事言うけど、そのお金はアスランのお父さんやお母さんが働いたお金でしょ?贅沢な事に使うなんてパチが当たるよ!もっと大事に使わなきゃ!それにね、デパートごと買い取ってしまったら、ソコに働く人ごと追い出す事になりかねないよ!
僕の我が侭や、アスランの我が侭の為に、その人達を不幸にするのなら、僕は買い物や欲しい物諦めるからね!!!』


と、そんな事を言われれば、なるほどっとさらに納得させられてしまう。
だから、キラが怒るのも嫌だし、それ以上に泣かれるのも嫌だ。
キラが嫌だと思ったのなら、そんな事はしないとそうあの時約束した。

だから、俺がこんな事を思いついても、二度と口に出さないように決めた事。

キラが笑ってくれさえすれば、それだけで俺は満足だった。
その笑顔を守る為にも、さっそうと車を走らせてデパートへと向かう。

デパートでキラが欲しい物を全て買い、また車の後部座席に積んで家へと戻っていく。



「あ〜、今日は楽しかったぁ〜v」

夕食を取り、お風呂へと入って温くなった体を、新しいパジャマへと着替えてベットの中へと潜っていくキラ。
その傍らには今日買い与えた、大きなテディ・ベアのぬいぐるみが置かれてあった。


「もしかして、それを抱き枕代わりにする気か?」
「何、言ってんの?僕が抱きつく相手はアスランだけに決まってるじゃない!」
「俺が抱き枕なのか?」
「違うよ。アスランは僕の……“旦那様”でしょ?」
「……そうだな……v」


クスクスと優しく笑顔を俺に向けてくれるキラ。
キラは俺の奥さんで、俺はキラの旦那様。
今日新しく新調したパジャマも、同じ紅で統一した同じモノ。
ただ、キラの手には1本の水色のリボンが握られていた。


「ほら、コッチ向いて」
「ん?」
「髪の毛、結んであげるからv」
「あのな〜。寝る時は必要ないだろ?」

と、俺がその事を言うと、一瞬だけ固まっていたキラだったが─────。

「そういや、そうだね……」

あははと、軽く笑いあってシーツの中へと潜り、恥ずかしそうに顔を隠す。

「明日は絶対に結ばせてね。アスランの髪の毛、このリボンで飾ってあげる」
「良いよ。明日になったらな……」
「うんvおやすみ、アスランv」
「おやすみ、キラv」

リボンをベットサイドへと置き、おやすみのキスを軽く交わして眠りについた。
どんな夢を見るのかは楽しみでもある。





誰か好きな人を見つけ、好きな人を手に入れたら。
絶対、パーフェクトな恋をしようと、幼年の頃からの誓い。
それは今もなお、形は変わらないぐらい守られている。

好きな人を守り、大事にして、優しくしてあげている。
それは簡単な事でもあるが、難しい事でもある。
いろいろと障害がつきものだったりするので、叶えられるまでが苦労の連続。
それでも辛いと思った事は一度もない。
好きな人が笑っていてくれさえすれれば、自分が疲れた苦労など一瞬で吹き飛ぶからだ。


だって、好きな人との恋をするのなら、一番愛している人から、100%好きって言ってもらった方が尚更嬉しいモノなんだ。
それさえ叶えられる事なら、どんな苦労や苦難さえも、これからずーっと乗り越えていけると思える。

それは1人で成し遂げるモノではないから。
好きな人が一緒に達成してくれるから。
1人じゃないんだと実感できるから。

だから、俺はパーフェクトな恋をしようと、これからもそう思った。



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1/3の純情な感情
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コツン、コツンと通路に響く2つの足音。
ある若い青年は同じぐらいの女性に、ある部屋へと連れられてきた。
そして、目の前には“ウサギ組”と書かれた看板が頭上に吊されている。

「ココが貴方の担当するクラスよ」
「へ〜。どんな子供がいるのか、すっげぇ、楽しみだな〜vvv」
「でも、決して。手は出さないでちょうだいね、ムウ!」
「ハイハイ。マリューさんはちょっと厳しいね〜」
「何か言いました?」
「いえ、何も」


そう、連れられてきたのは、ムウ・ラ・フラガ。
独身の保夫さんだ。
そして、隣にいるのがマリュー・ラミアス。
このSEED幼稚園の偉いサンでもある保母でもあった。


そして、ガラっと扉を開けて、真っ先に中へと入ったムウの顔面に─────。

─────スパコォーンッ!

「ふがぁっ!!?」

《エエカゲンニセント、オコルデー》

と、ピンクハロが勢いよく飛んで当たってきたのだった。

「あ〜ん。僕のトリィ返してよ〜!」
「嫌だね〜!」
「貴様ァー!キラを泣かすとは良い度胸だな〜?」
「はん。凄んでも迫力無いってーの!」
「お前らにソレを取る権利は無い!!!」
「あ〜。超、うざい〜!!!」
「何だとぉ〜う!!?」


部屋の中では可愛い茶色いサラサラ髪で、アメジストの瞳を思いっきり揺らめかせ、泣いている子供の側へとオレンジ・緑・黄といった野菜頭のトリオ達と睨みながら、金髪でガングロぽい子供と銀髪のおかっぱ頭でサファイア色した瞳の子供と、紫紺のおかっぱ頭で翡翠の瞳をした子供が対立していた。

どうやら、キラと呼ばれる子供の持っていた鳥ロボットを、悪ガキ3人組が取り上げて苛めているらしく、フラガの目には泣いているキラの姿が痛々しそうに見える。
その側で、緑の頭でオレンジの瞳をした子供の背後から、何かドス黒いオーラーらしきものが漂ってきているのは気のせいだろうか?


「そこの両名。いい加減にして下さいね?ほら、僕の大事なキラさんを泣かさせるの止めて、奪ったトリィを今すぐ返して下さいね?」
「はん!嫌だね〜!!!」
「さもないと─────」
「どうなるって言うんだ?」

ニコルが満面の笑顔できちんと説明し、キラから奪ったトリィを返せとニコルはそう言う。
だが、オルガ達はそれでも抵抗するのか、全然反省もする気がなくて、余計にニコルを怒らせてしまい、ラクスへと何かを頼んでいた。

「では、ラクスさん。お願いしますvvv」
「ええvお任せ下さいですわ〜vvv」


ニコルのその一言に了解したラクスは、手に持っていたハロを─────。

「えいvvv」


第一球、思いっきり投げましたぁぁああ─────!!!!


─────スパコォーン!!!


《マケテヘンデー》

ゴン、ゴン、ゴンとオルガやクロトやシャニの頭上に、ハロ爆弾命中させる。




先程、フラガの顔面に命中した理由は、同じようにラクスがオルガ達へとハロを投げつけ、ソレが勢いよく跳ね返ってきたのか、または、避けられた瞬間にドア付近から入ってきたフラガの顔面に当たったかもしれない。

あんな堅いモノが当たれば痛いぞと思いながらも、悪ガキが持っていたトリィっていう鳥ロボットを奪い取り─────。


「勝手に人様の物を取って苛めたりしない!」

と、取り上げたトリィを泣いていたキラへと手渡す。

「ほら。大事なのは取り返してあげたから、そろそろ泣きやまねーか?折角の可愛い顔が台無しだし、目がウサギさん状態じゃないか?」
「……ぅえ!?ありがとうございます……」
「いえ。どう致しまして」


ニコリと大人の笑顔をキラへと見せつけると、泣いていた顔を少しだけ真っ赤にして照れていく素振りを見せた。


『うわぁ〜。すっげえ、可愛い子vなかなか素直で良い子だなvけど、その後に周りの者達からと言うか、この紫紺の髪をした子供からやけに睨まれてないか、俺?』


と、アスラン達がキラへと近づいてきたフラガに対して、凄く睨みだしてしまい嫉妬を見せつけるようにしてフラガを思いっきり警戒する。
特に、アスランだけはキラを奪われたくないのか、自分の背中へと隠してしまう辺りがどうも怪しくフラガにはそう見えた。

「あーてめェ!何、すんだよぉ!!?」
「関係無いヤツは向こう行ってな!」
「ウザイ〜」


オルガ達は途中で邪魔された事に対して怒りだし、フラガの足を思いっきり蹴り出す。


「痛っ!!?酷いな〜?先生に向かってソレはないんじゃねーの?」
「はん?先生〜?」
「こんなヤツが先生だってよ〜」
「瞬殺!」
「あのな〜?好きな子を苛めるのは良くないぞ?自分達の気持ちが素直じゃないからって、好きな子の意識を自分に向けたいからといって、泣かせるんじゃ将来ろくな大人にはなれねーぞ?」
「ふん!」
「けっ!」
「生意気!」


フラガがそう言ったのはハズレじゃなかった。
好きな子っていうキラが、ふと、オルガ達を泣きながら見つめてしまうと、オルガ達はどうすればいいのか少しだけ固まって照れてしまい、その態度はまるで好きな子を苛める男子て所だった。


「ほら、ごめんなさいは?女の子泣かしちゃダメだぞ?」

と、言った時に背後からピシッと何かが切れる音がする。

「ムウ。悪いけど………。キラちゃんはこう見えても、“男の子”なのよ……」
「ほえ?男の……子…?」
「ええ」

マリューがすかさず訂正を告げる。

「僕、女の子じゃないもん!」
「…はは。ごめん、ごめん」

頬をぷーっと膨らませながら、自分は男だと言うキラ。
そんなキラの様子が可愛いくて女の子に見えると、フラガは引きつり笑顔を見せつける。
そして、ごめんと言いながら、フラガはキラの肩へと手をついた。




「おい、おっさん!」
「ん?」
「俺のキラに気安く触るんじゃねーよ!!!」
「貴様、キラの肩から手、離せ!!!」
「邪魔だよ、おっさん!」
「僕のキラさんへ気軽に声かけないでくれませんか?」
「私のキラへ近づく事さえ、1000万年光年早いってものですわvvv」


と、キラの肩へと手を置くフラガへと、アスランやイザークやディアッカやニコルやラクスまでもが、敵対心を見せつけて微笑んでいるのだが目は笑ってない。
それでも、フラガはキラの肩から手を放さなかった。

だけど、次の瞬間に!!!

「おーい。カガリーっ!!!姫に変な害虫寄ってきているぞぉ────っ!!!」

と、ディアッカが隣のヒヨコ組へと大声で叫ぶと─────。
─────ガラッ!!!

「お前かァ〜!!?私の大事な弟に良からぬ事を考えている害虫はぁ!!!」

と、カガリからの鉄拳でもあるキックが、ドア付近からダッシュして途中で飛びはね、思いっきりジャンプすると勢いよくフラガの股間へと当たる。


「!!?」
「……ムウ?大丈夫?」

股間を必死に押さえながら、フラガは痛みに耐えようとしゃがんでいた。
その側へとマリューが心配して見に来る。

「─────……ピンクのヒラヒラレースか……」
「なっ!!?」
「紐パンじゃねーのか……おしい……」
「このぉ〜!!?セクハラ大魔王がぁああ─────っ!!!!」


マリューのスカートを片手でペロリとめくり、フラガはマリューのはいている下着を確認すると、チッと舌を鳴らして惜しいと呟く。
そして、カガリよりも凄い鉄拳がフラガへと命中。
完璧にのされたフラガは気絶したまま、マリューに首根っこを掴まれて通路の外へと連れて追い出されてしまう。
そして、パンパンと手を払いながら─────。

「さぁ、お遊戯の時間ですよ〜vvv」

と、何も無かったかの感じで、カガリを隣のクラスへと連れて行かせ、ウサギ組はいつものお遊戯を楽しんでいった。

結局、フラガはこのSEED幼稚園に何しに来たんだろうね〜?



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Ziggurat
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その日、ヴェサリウス内ではある隠れた部屋にて、3人の男達が怪しく何かを計画する内容が相談されていた。

「いいですね。コレから起きる事は、誰にも秘密ですよ?」
「ああ」
「分かってるさ」


ニコルがイザークとディアッカへと、口を堅くして告げ口などはしない事を条件に、ある事を約束する。
その、ニコルの手には薬品みたいな試験管が握られていた。


「しかし、見物だよな〜♪ガキの姿になったアスランって〜v」
「憎らしいただのガキだけは遠慮したいな」
「さぁ〜。どうなるのかは、まだ分かりませんよ〜vvv」


それぞれが想像で笑い出していた。
小さくする薬を入手した為に、それを使ってアスランをガキの姿へと変化させるのが、ニコル達の策略でもある。
全ては─────。

「コレを使ってアスランを小さくし、その事を脚付きにいるキラさんへ報告して、絶対アスランの異常を気になったキラさんは、ヴェサリウスへとやって来るハズです。その時こそ、アスランと言う強敵は小さくなって手も出せず、僕達の誰かがキラさんを奪っても文句や邪魔など入らないつもりですよ〜vvv」


キラを手に入れる為の策略でもあった。
ニコルやイザークやディアッカも、キラが大好きで手に入れたいと思う者。
それぞれ、キラを独り占めしたいと思うのだが、強敵でもあるアスランというライバルがいると、絶対にキラを独占する事や恋人の地位に上りつめる事は邪魔される為、今回の小さくなる薬を偶然手に入れられたから、その薬をアスランに飲ませてみせるとの行動に出ようとした。


そして、運良くも、あと30分で朝食の時間でもある。
ニコル達は早速食堂へと行き、アスランが食べるであろう食事の中に、その幼児化の薬をひっそりと混ぜて食べさせた。



「─────あれ?」

何も知らないアスランは、ニコル達の目の前で急激に体の変化を見せつける。
紅の軍服が大きくと言うか、中身がだんだんと縮んでいくではないか?
最終的に変化が終わった自分の体を、手を見てアスランは─────。

「……お前達。幼児化の薬、混ぜたな?」

と、睨むアスランの可愛い姿。
すっかりと3歳児になった姿で、紅の軍服をズルズルと引きずって、睨む姿では威嚇の表現も似合わなく、ただ可愛いの一言につきるだろう。

「ち!中身は16歳のままか……」
「完全な薬ではなかったようだな〜?」
「隊長の薬を当てにした僕が失敗でしたよ……」


そう、この幼児化の薬はクルーゼ本人の手作り劇薬?
それを、ニコルがクルーゼの部屋に忍び込んで、こっそりと奪ってきたという事になる。

でも、中身は変わらないが、見た目だけは変わっていたので、今回の計画も無事音便に進める事ができるだろうと、ニコル達はガッツポーズを取りまくって喜んでいた。


「さぁ〜、アスラン。今すぐ、脚付きに回線繋いで、キラさんを呼び寄せて下さいねv」
「は?何でだ?」
「嫌だな〜。アスランがキラさんをザフトに招きたいと言ったのは貴方なんですよ。だから、僕達がソレを協力してあげると言ってるんですよ〜vvv」
「そうそう。アスランがこの姿なら、一発で姫はザフトにやって来るさ〜v」
「貴様が、幼児言葉で来て欲しいと頼めば、一発でうんと頷いてくれるな……」
「はぁ〜?意味が全くつかめないぞ?」


遠回しな言い方でもって、ニコル達は小さくなったアスランを腕に抱きかかえ、急いで食堂からブリッジへと走って向かっていく。



そして、アークエンジェルのブリッジでは、ザフトから通信を繋げられ、しかも、キラを直接呼び出してくれと伝えられた事もあり、キラを交えてザフトとの連絡を取り合う。
少しばかり奇妙な感じもするのだが、戦闘は暫く行わないという妙で嬉しい条件の元に、快く通信が繋がれていた。


「で、アスランの異常な事態って─────何?」

と、画面上に映っているニコル達へと、キラは引きつり笑顔のまま会話を進める。

「それが、アスラン………こんなに小さくなってしまったんです……」
「えっ!!?」

泣きそうな感じの声と、哀愁が漂う表情とで、ニコルはプロ並みの演技をキラに見せる。
そして、通信画面上に抱き上げたアスランを見せて、こんなに小さくなりましたと報告して、キラに一大事だと告げていった。


「ア、アス……ラン…なの?」
「きらぁ〜!!!」
「アスラン!!?」


幼児言葉で可哀相に泣けと、通信を開く前にニコルからお約束していた事。
アスランはキラへと演技を見せるように、幼児化した感じで可愛く泣きながら、舌足らずな言葉でキラへと助けを求める。

キラはアスランが本当に小さくなった事を、その現在の画像とアスランの声を聞いて、驚いて焦っている感じの状態をニコル達が見てしまえば、この作戦は勝利したも同然と確信
を掴んでいたハズなのだが─────。

「きゃあぁ〜vvvかっわいいぃ〜vvv」
「私も抱っこしたぁ〜いvvv」


などの黄色い悲鳴がアークエンジェルのブリッジ中を木霊させていた。
それは、画面上に可愛く泣くちびアスランを見た、マリュー艦長とナタルとミリアリアからの悲鳴。
抱っこしたいから始まって、しまいにはいろいろとお着替えさせてみたいとか、女ならではの発想へと手をワキワキとさせながら喜ぶ始末。


「キラ君。今すぐ、あの子をアークエンジェルへと連れてらっしゃいv」
「は?アスランを……ですか?」
「そうよv向こうの男達の元では育てるの可哀相よ!コッチなら女性も多いし、キラもいるんだから、育てる環境には抜群よvvv」
「そうそう。……衣服を私達が作る事で着替えごっこ─────……」
「は?ナタルさん、今なんて言いました?」
「いや、気のせいだ!私は何も言ってないぞ!」
「???」


どうやら、マリュー達がすっかりとちびアスランをお気に召したご様子。
ニコル達の計画もおじゃんになる可能性が強い。
だが、女達の迫力に敵わないのか、ヴェサリウスは泣く泣くアークエンジェルの隣へと、休戦状態で横付けされる事が決まった。



「「「きゃあ〜v可愛い〜vvv」」」

アークエンジェル内をトテトテと歩くちびアスランの姿に、マリュー達は歓喜の声を上げていく。
そんな中、ニコル達は嬉しくないと、心の中でブツブツと文句を言っていた。


『何で、アスランばかりが人気者になるんですか〜!』
『知るかよ!』
『それより、今の内にキラを口説きに行こうぜ〜vvv』
『そうですね。すっかりと今回の目的を忘れる所でした』

それでもニコル達はちびアスランをマリュー達へと預け、その間にキラへと近づく事を忘れないようにと、キラの側へと近づいていく。


「キラさん。すみません。僕達の見ていない所で、クルーゼ隊長の怪しい薬の実験材料として、アスランが犠牲になってしまったんです……」
「ニコル君……」
「すまない。俺達がついていながら……」
「イザークさん……」
「ごめんよ〜、姫……」
「ディアッカさん……」


いけいけしゃーしゃーと、嘘の言葉と嘘泣きするニコル達。
その言葉一つでキラの心はニコル達を簡単に許してしまう。

「ううん。アスランがあんな事になったのは、全てそのクルーゼ隊長が悪い事なんでしょう?それをニコル君達が謝る事はないよ……。僕は誰も怒ってないから……」

完全にニコル達の嘘に騙されたキラ。
さらにキラとの距離を詰めて、キラの心をもっと自分達に向けようとするが─────。


「き〜らぁぁああ─────っっ!!!!!」

泣きながらトテトテと走ってくるちびアスランが邪魔し、ニコル達をそっちのけでキラはアスランへと意識を向けてしまう。

「アスラン?どうしたの?」
「え〜ん。あの、お姉さん達怖いよぉ〜!!!」
「ははは。マリューさん達に何かされてきたのか……」
「……ふぇええ〜ん……」

よしよしと泣くちびアスランを、キラが大丈夫だと腕の中に抱きしめ、そっと抱き上げて高い高いをしてやる。

「ほ〜ら。泣きやもうね〜vvv」
「……きらぁ〜……」

ちびアスランはキラにギュウッと抱きつき、キラに見えない背後からニコル達へと向けて、可愛くアッカンベーをする。
それは、ニコル達がキラを狙っている事を知っていて、今回の薬をもった理由も全て理解していて、それを逆手に取ったアスランの計画性の罠。
ニコルやイザークやディアッカはしてやられたと、ブルブルと手を震わせながら満面の笑顔を向けて怒っていた。


「きらはぼくのだもんvね〜vvv」
「アスラン?」

「「「─────………」」」


可愛くキラの頬へとキスをするちびアスランの攻撃に、キラは何と不思議な顔をしながら少しだけ真っ赤になりだす。
それは、誰にもキラを奪わせないよとの、ちびアスランからの挑戦状だった。






結局、アスランが元の状態に戻るまで戦争は一時休戦しつつ、アークエンジェル内で仲良くキラと遊ぶ事ができたというらしい・・・・。
もちろん、その間もニコル達の邪魔をしたというのは、言うまでもないだろう・・・。



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常闇の影
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アスラン・ザラの1日。
それはキラが関わる事で大きく変化する。

キラと幼年の頃に別れてから、アスランがザフトに自分から志願した時。
皆から思われていた、アスラン・ザラという1人の人間の事を、常に冷静な判断でテキパキと物事をこなし、何においても怖じけない度胸と優秀な判断力で、戦闘から全てにおいてまでパーフェクト。
この者には弱点など無いのだと思うぐらい、隙が全く見せない人物だった。

それが、半年もせぬ内に、キラ・ヤマトと言う者が関わると。
仕事どころの騒ぎじゃなく、すぐにどこかに行方不明となり、気がついたら戻ってきていた?と言うぐらい、驚きな行動をしてくれるとんでもない人物へと変化していた。

そして、今日もアスランだけじゃなく、ニコルやイザークやディアッカまで巻き込んだ、キラの追っかけと言うよりストーカ?
の1日が始まるのだった。




中立オーブ領域、バトリックスの街。
その街でアークエンジェルは補給と、点検の為の整備をする為に3日程滞在していた。


「え〜と。小説本に電池は買ったでしょ……」
「男子の靴下もろもろと、女子の欲しい物一部は買えたわよね〜」
「残るは─────、フレイの化粧品……かぁ〜」
「え〜。ソレって、この街にあるわけ無いじゃない!」
「だよな〜」


キラとミリアリアとトールとで、今回のクルー達に頼まれた買い物担当していた。


「キラの欲しい物は買ったの?」
「ん〜。僕の欲しい物………ねぇ……」
「無かったのか?」


トコトコと街中を歩きながら、今度はキラの欲しい物は何だと、ミリアリアとトールが聞き出した瞬間に!!!


「あれ?」
「どうしたの、ミリィー?」

突然ミリアリアの足が止まり、キラは不思議そうに首を傾げる。

「なんか、視線感じない?」
「そう?」
「ん〜?誰もいないが……?」
「気のせいだったのかな〜?」

と、ミリアリアは人の視線が感じたと、後ろをバッと振り向いて誰もいない事を確認する。



ミリアリアが人の視線をちょうど感じていた時。

「あ〜、危ない所でしたよね〜」
「一瞬、隠れるのが遅かったら見つかっていたよな?」
「しかし、アスランのヤツ、何考えている!!?」

ニコルやイザークやディアッカが、慌てて建物の影に隠れる始末。
目の前のアスランに至っては、すっかりと電柱に隠れるようにして変化していた。

「おっ!?動きだしたみたいだぜ?」
「後を追いかけましょう!」
「ああ」


キラ達が動き出せば、アスランも動き出す。
そして、その後を追うようにニコル達も動き出していった。




「キ〜ラァ〜vvv」

物陰に隠れながら、目の前を歩くキラをひたすら見つめるアスラン。
その趣味は完璧ストーカ。
危ないって・・・。


「う〜。キラの欲しい物って一体何だ?俺なら全て買い与えてやるのに〜!貧乏の地球軍の元にいたって、満足な物食べられなかったり、ろくな買い物もできないんだろうな〜。可哀相─────!!?……」

一人でブツブツ言いながらも、ミリアリアやトールが後ろを振り返れば、必殺、俺は木!
という怪しげな変化でもって気配を完璧に隠すアスラン。


「……ふぅ〜、危なかった〜」


と思うのもつかの間、今度はキラが自然と後ろを振り返れれば、側にいた人の後ろへと隠
れるアスラン。
それは、人の迷惑なんじゃ・・・?














「ん〜?」
「トール?」
「どうしたの、トール?」


トールが後ろを何度も振り返り、キラやミリアリアが不思議な顔をして見つめる。


「ん〜、やっぱり。人の気配か何かしないか?」
「やっぱり、するよね〜!」
「でも、誰もいないよ?」
「そうだよな〜。やっぱ、気のせいなのかな〜?」


不思議な気配や視線がするものの、後ろを振り返ったと同時にソレはピタリと消える。
何だったのかと気になるが、それ以上の詮索はしないと思い、さっさと店へと巡ってキラ
が欲しい物を探して見物していた。




「ん〜。姫の欲しい物って何だ?」
「さぁ〜?」
「何だろうな?」


ニコル達はアスランと同様、キラの欲しい物なら何でも買い与えたいと望む。
だけど、キラが欲しい物をいっこうに口に出さず、店を見学しては違うと言った顔をして何度も歩き続けているのだ。


「───ん?」
「どうした、ディアッカ?」
「人の気配しねーか?それも、後ろから……?」
「後ろですか?─────っげっ!?いつの間に……」

そう、ニコル達の後ろをズラズラと歩き続ける者は、ザフトのクルー達と一般の庶民の者達が、ニコル達の後を追いかけていると言うよりは、キラの後を追いかけていると言った方が妥当だろう。

お前ら仕事はどうしたっ!!?
と言うありさまなので、こんなにもキラの容姿や可愛い姿に虜になる者が溢れかえる。
ざっと見てみれば、街中の男子がキラの後を追いかけてると見えるだろう。


「─────……害虫だな……」
「そうですね〜v」
「駆除、ニコルに任せる!」
「ええ。もちろんOKですよ〜♪」


と、ニコル達の後ろにいるクルー達と一般庶民の者達を、害虫だと決めつけたニコルによって素早く退治される。
もちろん、目の前にいるアスランも、キラを見た者達が頬を赤らめ止まるたびに、横からスーッと手を出したりとか拉致したりとかして、キラに群がる前に害虫駆除対策を行っていたらしい・・・。



「あ!あったぁ〜♪」
「は?」
「ソレが、キラの欲しい物?」


突然、キラがある1件の店を物色していた時、店内でキラのお眼鏡にかなう物を見つける。


「うんv等身大の大型犬ぬいぐるみが凄く欲しかったんだ〜vvv」
「その年になってぬいぐるみか?」
「幼稚すぎない?」
「そうかな〜?ちょうど、コレが抱き枕にピッタリなんだよね〜vvv」
「まぁ〜、良いけど……ね……」


等身大の大型犬のぬいぐるみが欲しかったと、ソレを手にとって抱きしめるキラの眩しい笑顔に、ミリアリアとトールは引きつり笑顔をしながら買えよと言う。
そして、キラは大喜びしながら購入する仕草に、店員だけじゃなく外にいる者達全てがキラの可愛い笑顔にほ〜と見とれる始末。

そんな時に限って、外から─────。

─────ドカッ!バキバキッ!!!グシャリッ!!!!

と、何やら怪しげな騒動が聞こえた。


「やっぱり、誰か後をついてきたみたいよ?」
「姿も気配もすぐに消えるとは……、不気味だよな〜……」
「ココはさっさと、アークエンジェルに戻るしかないわよ!」
「うん!」


焦りと動揺が訪れる中、ミリアリアとトールはキラを庇いながら、守りながら店を後にしてさっさと街中を歩き出す。

だけど、数分もして─────。


「ちょっと、待って!!!」
「キラ?」
「どうしたの?」
「─────知ってる気配がある!!!」

ヒソヒソ声で、キラはミリアリアとトールに、後ろをついてきている者の正体が知っている者の気配だと知らせた。

「それって、キラの親友の人の?」
「……たぶん……」
「おいおい〜。気配とか姿まで消しているなんて、ただの者じゃないぞ?」
「いや。アスランならそれぐらいできる!!!」
「ま、確かに。ザフトの軍人だしな……」

ははは、と、引きつり笑顔を見せるトールとミリアリアを余所に、キラはある言葉を言いつつ後ろを素早く振り返る。


「だーるまさんが、こーろんだっ!!!!」

キラがそんな言葉を言うと、トールやミリアリアはおいおい〜と苦笑いする。
だけど、キラの振り返りにすぐさま反応できなかった一般庶民達は、ドテドテと勢いよく通路脇から転げだし、キラが見つけた瞬間に慌てて逃げるという行動を繰り返した。



「へ〜。この言葉って、案外役立つのね〜?」
「これで、半分の気配が完全に消え失せたな?」

トールとミリアリアは感心して、キラの行動を観測していた。

「だーるまさんが転んだ!!!!」
「ち!惜しい……」
「後、もう少しよ!キラ、頑張って!!!」

何を応援しているんでしょうか?

「だるまさんが転んだ!!!」
「うわっ!!?」
「ディアッカさん、みっーけvvv」
「……見つかったか……」


キラの勢いよく言った言葉に、ディアッカ運悪く見つかる。

「馬鹿か……」
「ダメですね……」


ディアッカが見つかった事を、影で隠れていたニコルとイザークから冷たくされてしまう。
ディアッカはトホホっとヴェサリウスへと戻るしか無かった。


「転んだったら転んだ!!!」
「いぃ!?」
「えぇ!?」
「ニコル君、イザークさん、見つけた!!!」
「あ〜あ。見つかりましたか……」
「キラ。見つけるの旨すぎ……」


今度はニコルやイザークが見つかり、それを発見したキラはえへへと笑う。
そんなザフトの3人組と、喜ぶキラを見ていたトールとミリアリアは、何だかな〜?と頭をかきながら呆れかえっていた。


「最後!アスランが転んだっ!!!!」
「っ!?うぇ!!?─────キラ、それ反則……」
「やっぱり、アスランまでいたじゃない!!!もぅ〜!」


意外な言葉を聞いて、アスランが思いっきり転ぶ。
それを見たキラは頬をぶーたれながら、何で僕の後をアスランが追いかけてきているんだと、無言の怒りをアスランへと見せつけていた。




結局、アスランがキラの後を追いかけても、キラが素早く気配を察知してしまえばいろんな方法でアスランは見つかるらしい。


「さてと。アスランも見つけた事だし、トール、ミリアリア!」
「ん?」
「何?」
「アークエンジェルへと帰ろvvv」

スッキリしたと言う感じのキラが、トールとミリアリアの腕を引っ張って、アークエンジ
ェルへと帰ろうとしたが、一瞬だけ手にしていたぬいぐるみの事を思い出して─────。

「あ、ちょっとだけ待っててくれる?」
「キラ?」
「今度は何なの?」

綺麗にラッピングされた等身大の大型犬のぬいぐるみを、アスランへと近寄りながら思い
っきりアスランの顔面へと、バフッとあてながら渡す。

「それ、キラの欲しい物じゃ……?」
「自分用に買ったんじゃないのか?」


と、トールとミリアリアはさらに不思議になり、キラへと事の真相を確かめようとした。


「ハイ、アスランv」
「キラ?」
「明日。アスランの誕生日でしょ。1日早いけど、誕生日おめでとうvvv」
「え?覚えててくれたのか……?」
「うんvアスランの誕生日プレゼントを何にしようか考えてたら、やっぱり抱き枕かな〜って思って、昔から動物大好きだったアスランの為に、こんな犬系のぬいぐるみを探していたら偶然見つかったんだよね〜vだから、僕からのプレゼントvvv」
「キラ〜vvv」


アスランはキラからぬいぐるみのプレゼントを貰い、自分の誕生日も覚えていてくれて、しかも祝ってくれるのかと思えばもの凄く嬉しくなり、世界一の幸せ者だとそう思った。


「じゃ、アスランの誕生日も祝えた事だし、僕達はさっさとアークエンジェルへと戻りますか〜vvv」


だけど、切り替えの早いキラに、アスランは一瞬にして滝のような涙をだーと流す。

「キラ〜!!!」

幸せと不幸を一気に押し寄せてきたと言わんばかりのアスランの状況。

「いいのか?」
「何が?」
「親友の誕生日祝ってたんだろ?」
「もっと、時間かけてあげた方がいいんじゃない?」
「もっと時間かけて祝ったら、こんな簡単に済まないから、良いの!」
「???」
「どういう意味?」


トールとミリアリアの背中を押しながら、キラはさっさと元来た道を戻っていく。
最後のキラのセリフには何やら隠されたものがあるけど、トールとミリアリアはそれ以上深く詮索するのは止めようと思った。




結局、キラを追いかけるという、アスランのストーカーはキラには通用しない。
キラから誕生日プレゼントを貰ったアスランは、ヴェサリウスの自室のベットへと、等身大の大型犬のぬいぐるみを、抱きしめながらひっそりと抱き枕にしている。

ただ、ラッピングを解いた時に、キラからのバースディカードに書かれてあった内容を見て、アスランの心境は一気にパラ色になったという訳だ。


『誕生日おめでとう、アスラン。アスランの事、世界一、誰よりも大好きだよvvvだから、もうストーカ癖は止めてよね?
+キラ・ヤマト+

PS:今度はいろんなハロや、プチハロ作ってねvvv』


なんて書かれてあったらアスランは、すぐさまプラントにハロの部品を取り寄せ注文する。
後日、ヴェサリウス内へと送られてくるのを楽しみに待ちつつ、今度はキラとどこで再会しようかな〜と楽しみに想像していた。

そして、アスランの1日は、無事幕を閉じる。

written by INVOKE&Dream House:都筑春香様

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UpData 2006/02/03
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